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「おっす翔」
「おはよう、椎名くん」
「おはよ」
登校中の友人たちと朝の挨拶を交わす。
今日は雲一つない快晴。
これで隣に柚季がいたのなら、実に気持ちが良い日だったんだけど…
「おっ。椎名が一人で登校なんて珍しいじゃん」
前言撤回。
たった今、良い日ではなくなった。
「…俺だってたまには一人で登校する時だってあるよ」
彼は同じクラスの佐原 洋平。
佐原は何かとよく俺に突っ掛かってくる。
例えば身体検査。
突然“どちらの背が高いか勝負だ!”と言い出し、結果何センチかの差で俺が勝つと“…この勝負は無効なんだからな!”とよく分からない逆ギレをされた。
バレンタインでは“どちらがより多く女子からチョコレートを貰えるか勝負だ!”と言い出し、結果本人がボロ負けする始末。“これで勝ったと思うなよ…!”と、どこかの悪者を連想させるような捨て台詞を吐いていた。
…今思うと本当にどうしようもないことで俺に突っ掛かってくるな、佐原は…。
「さては瀬川さんにフラれでもしたか!」
「いや柚季は用事があるから先に行くって」
「…ち。なんだよつまんねー…」
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