クラスメイト

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教室のドアを開ける。 「でさ、俺昨日限定盤買えたんだ!」 「マジで!? すっげぇじゃん!」 いつもと何一つ変わらない賑わいを見せる教室にホッとしていると両肩にずしりと重みを感じた。 「だーれだ」 …どうやら俺は後ろから誰かにのしかかられているみたいだ。 「…あのな、こんなことするのは佐伯しかいないだろ」 フッと肩から重みがなくなる。 「ちぇっ、もっと驚くとかしろよなぁー。つまんねーの」 彼は佐伯 浩児。 中学時代から仲が良かった俺の友達だ。 「そういえば今朝会った佐原も“つまんねー”って言ってたな…」 「ふーん佐原がねぇ……ってあの佐原っ!? 自分から勝負吹っ掛けたくせに必ず負けるっていうあの伝説の佐原!?」 「いや伝説って…」 あれは寧ろ二年四組の名物なのでは…? 「で! その佐原に朝から会ったのか!?」 「まぁ…」 「…そうか。…ご愁傷様です」 佐伯はそう言いながら俺に両手を合わせた。 「登校中にあいつに会うってキツいなぁ…」 「うーん…でも今日はそうでもなかったぞ?」 「え、嘘!? なに、お前に突っ掛かってこなかったわけ!?」 「や、なんて言うか…」 登校中のことを思い出してみる。 『おっ。椎名が一人で登校なんて珍しいじゃん』 『さては瀬川さんにフラれでもしたか!』 「……いや、うん、悪い。なんか俺の勘違いだったみたい」 「だよな!? いやぁ一瞬ビビったぜ…。やっぱり佐原は佐原だったか」 何かに納得してるのか、佐伯はうんうんと頷く。 「…それにしてもさ、なんで佐原はいちいち俺に突っ掛かってくるんだろ?」 「えっ」 「俺には全く心辺りがないんだけど…佐伯は分かるか?」 「………いや、あのさ。多分理由分かってないのお前だけだと思うぞ…?」 「?」 佐原といい佐伯といい、言わんとしていることがどうも分からない。 「…本当鈍いって大変なんだな」 ぽんっと肩を叩かれる。 「鈍い? え、誰が?」 「あ、しかも自覚なしですか…」 .
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