クラスメイト

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予鈴が鳴ると同時に、皆は自分の席へと戻っていった。 「私たちも席に着こう?」 自分の席に向かう。 俺と柚季は偶然にも席が近く、俺の斜め後ろが柚季の席だ。 「…で」 俺が歩みを止めると背後の人物も止まった。 くるりと後ろを振り向き、微笑みながら廊下側の席を指差す。 「なんで佐伯くんは俺についてくるのかな? 君の席はあっちだろう?」 すると佐伯は鼻で笑うと偉そうに答えた。 「はん。俺が大人しく自分の席に戻るとでも思ったのか? …フッ。甘い、甘いな翔!」 「いや大人しく戻れよ」 「暇だから嫌だ」 お前はどこかの駄々っ子か。 「…なぁ、翔」 急に真剣な顔になったと思ったら、顔を近付けてきた。 「な、なんだよ」 佐伯の顔が目の前にある。 …正直言って近い。 「…まさか瀬川と喧嘩でもした?」 何故か小声で話し掛ける。 「…喧嘩? なんで?」 「ばっ…! 声大きいっつの!」 「あだっ!?」 額を押さえる。 …まさかデコピンされるとは思わなかった。 「なんでも何もさ、お前ら全然喋ってないじゃん」 内心どきりとした。 …佐伯はこう見えて妙に鋭い。 油断していると簡単に気付かれてしまう恐れがある。 「…気のせいじゃないか?」 ふいっと視線を逸らし、素っ気なく答える。 「……気のせいねぇ…」 意味ありそうに俺と柚季を交互に見る。 「…なんだよ」 「いんやぁ? 別にぃ」 …駄目だ、これは完璧に気付かれている。 「佐…」 その時、勢いよくドアが開かれた。 「よっしゃあぁああ!! ぎりぎりセーフっ!!」 この声は…。 ドアに目をやると、今朝会った佐原が教室をキョロキョロと見回していた。 「おっ? 噂をすればなんとやらだな…って何してんだ? あいつ」 …誰かを捜してる…? 不思議に思っていると、偶然にも佐原と目が合ってしまった。 「………椎名てめぇ…」 佐原は物凄い形相でこちらに歩いてきた。 「…え、なに、俺!?」 なんだか知らないが佐原が捜してたのは俺らしく、それも何故か怒っている。 「翔…」 不意にぽんっと肩に手を置かれた。 「佐伯…」 「応援してるぞ」 それだけ言うと佐伯は笑顔のままそそくさと自分の席に戻っていった。 「………とりあえず、後で覚えてろよ佐伯…」 .
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