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人気のない校舎裏。
そこで一人、岩田 弥生は頭を抱え俯いていた。
「…なんで、あいつが…っ」
先程から何度、この言葉を繰り返し口にしたか分からない。
それほどまでに、彼女にはこの現実が信じられなかった。
「っ…だって、だってあいつは、私が……っ」
地面に膝をつけ、うずくまる。
「…ふ、うっ…うぅ…」
次から次へと涙が溢れてきて、止まらない。
「…椎名くん、私…どうしたら……」
思い浮かべるのは愛しい椎名 翔の姿。
「椎名、くん……」
それだけで心が温かくなる、救われる。
――どくん。
「……あぁ、そっか」
何かを思い付いた彼女はふらりと立ち上がると、空を見上げて微笑んだ。
「ふふ、なんでこんな簡単なことに気付かなかったんだろ……くすくす」
両手を広げる。
「…殺せばいいんだ」
――狂気は加速する。
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