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ピュグマリオンは女には非難すべき点がたくさんあるから、女性を忌み嫌って生涯結婚しまいと決心しました。
ピュグマリオンは彫刻師でありました。
それで妙技を凝らして一つの象牙の像を作りましたが、その像の美しさは、生きた女が誰ひとり足元にもよりつけないほどでありました。
オトメ
全く申し分のない処女の姿で、どうしても生きているようにしか見えませんでした。
一点の隙もない技術のために、その作品には人工の跡がなく、ほんとうに自然がこしらえたもののようでありました。
ピュグマリオンは自分の製作品を愛で慈しんでいるうちに、とうとうその彫像に恋するようになりました。
彼は幾度も彼女は生きているのではないかしら、と自ら確かめてみようとするように、彫像の手に自分の手を重ねました。
そんなことをしていると、これがただの象牙だとは信じられませんでした。
彼は像をなでさすりました。
そうして、若い娘の好きそうないろいろな贈物をもあたえました。
――光る貝だの、滑らかな小石だの、小鳥だの、さまざまな色の花だの、飾り玉だの、琥珀だのをあたえました。
また着物を着せたり、指に宝石をはめたり、頸の周りに頸飾りをかけたりしました。
耳には耳輪をさせ、胸の上には真珠の紐をかけてやりました。
着物はしっくり身について、裸かの時よりもなおと可愛らしく見えました。
ピュグマリオンはテュロス染のきれを張った寝椅子に彼女を寝かして、これは自分の妻だといっていました。
そうして像の女がその柔らかさを悦ぶことができでもするように、柔らかい羽根の枕をさせました。
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