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ちょっと昔の話をします。
小さい頃、彼はぼくらの中の誰よりも背が小さくて、学校や幼稚園に滅多に来れない程身体が弱かった。
ぼくら3人は家が近かったからよく遊びに行ったりしてたけど、いつも小さな子供ひとりでは広すぎる部屋にぽつんとある、大きすぎるベッドで彼は寝ていた。
でも彼はぼくらが部屋に行く度、ガバッと起き上がるとトテトテ走ってきて、可愛い笑顔で『いらっしゃい』ってわざわざ迎えてくれるような優しい男の子でした。
そんな優しい彼はもう居ません。
少なくともぼくと安田には優しくありません。今はマルだけ贔屓されています。
今じゃ身体もある程度強くなり、背も一番高くなって態度も一番でかい、そんなジ★イアンみたいな奴になったけど、昔から綺麗やった顔は綺麗なまま成長してモデルみたいになった。だから、容姿は完璧な美少年。
しかも頭もいいから憧れの存在、みたいな感じ。
………今更ながらぼくは普段、『ぼく』なんて言わないので使ってて吐き気がしてきました。
もう俺に戻ります。
そして本編に戻ります。
休みがちやったからか、身体が教室に馴染めないらしく、『行ッテ参リマス』という言葉をいつの間にか俺の机にでかでかと書いて消える。しかも油性ペン。迷惑以外のなんでもない。
まぁ確かに授業を真面目に受けていた時間の後は少しだけ顔色が悪くなってるような気もする。
とりあえず教師には保健室に行った、と適当にごまかしたりしてるけど実際そうじゃ無かったりする。
ほら、今日も彼は教室から脱走した。
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