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湿生園副会長は時計を見ながら転校生を待っている。俺達は、そんな湿生園副会長を見てにやにやしながら、転校生を待っている。
チャイムが鳴った。
「……初日遅刻」
「いいから」
いや、良くはねえよ。
サクは遅刻を恐れず、正門をじっと見ている。そして、正門が開く。
興奮するのは分かるが、俺の背中を叩くの止めてよね!
「サク、痛い」
「うっは!転校生がいる!」
こいつ……。
さて、転校生だが。
カツラだな。
黒いカツラだ。もっさり。
身長は高くない。痩せてる。
眼鏡。ダサい。
はい、王道です。
こりゃ、遅刻するだけのことはある。あとは、副会長が転校生と濃く絡めばいいんだ。
副会長の笑顔は作り物で、転校生はそれを見破る。すると副会長からキスが……。
ない。
「あれ……あれ?」
遠くて声は聞こえないが、湿生園副会長と転校生は普通に会話をしているようだ。
サクが戸惑う。
「転校生はウザキャラか?それで、副会長はキスせずに転校生を理事長に連れていく?マジかよ……転校生、マジかよ……」
恐らくサクの言う通りだ。湿生園副会長の顔、くっそ怖い。
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