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男は驚いた声をあげると剣の柄を強く握りしめた。
声が響くと、男の前に壁のように広がっていた対になった青い光が暗闇を引き裂くように動いた。
化け物達は左右に別れ、一番後ろにいた声の主がゆっくりと男の前まで近づいてきた。
声の主は紫色のローブを身に纏い、フードを目深に被り顔を隠している。
背丈は男とさほど変わらない。
だがローブからはみ出した両腕は緑色で明らかに人間の腕ではない。
蛇の皮ような光沢が、男が持っている石の放つ光を反射している。
「さあそれを返しなさい。死に逝くあなたが持っているべきではありませんよ」
「うるさい!どうせ貴様等には扱えまい!」
「口答えとは愚かな…朽ちろ!」
紫色のローブを纏った化け物は、手を男にかざすと純黒の魔力の塊を作り出し、男に向けて放った。
男はそれを剣で防いで見せたが、その瞬間にもうひとつ放たれた魔力の塊が男に直撃した。
「ぐわぁぁぁ」
純黒の魔力の塊は、容赦なく男の右肩を吹き飛ばした。
それと同時に、持っていた剣が地面に突き刺さる。
「さあこれで死になさい!」
人型の化け物は先程の五倍の大きさの魔力の塊を作り、男に向けて放った。
「なめるなぁ!ボルケーノアロー!!」
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