火龍、立つ

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 「飯まだぁ?ハラ減った」  「はいはい、出来たよ」  母親がテーブルに目玉焼きとトーストを並べた。  それをがっつき全て平らげて、行ってきまーす、と気の抜けた声で母親に言い、家を出た。  いつもと変わらぬ毎日。風太にとっては幸せな日常だった。  毎日学校へ行き勉強して、友達と遊び、家に帰る。  風太に悩みなどあるのだろうか。いや、無いだろう。  彼の性格は平和主義者だ。争いや口論はしない。だが、八方美人ではない。  嫌いな奴は嫌いだし、嫌な事をされればムッとなる。そして何より弱い者の味方でありたかった。
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