火龍、立つ

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 風太はいつものように学校へ向かっていた。  いつもの道、変わらぬ景色。今日は冬の寒さが増しているよだった。  (んん~今日も学校終わったらゲームしてダラダラ過ごそう!)  そんな呑気(のんき)な事を考えていた時だった。  目の前の空間が歪んだ。  風太は立ち止まり、歪んだ空間をぼーっと見ていた。まるで水溜まりが起き上がって浮いている、そう思わせるような光景だ。  ――これは一体……。  風太はゆっくり近付いて行った。そして手を伸ばせば届く距離まで近付いた。  その時、空間から手が伸びてきた。  風太は反射的に後ろに飛び退いた。  空間から伸びた手は、やがて肘、肩と人の形を生み出して行き、ついに一人の女性の姿が現れた。
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