火龍、立つ

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 「どうも、私はラウスと言う」  女がいきなり話しかけてきた。風太は戸惑いながら応えた。  「あ、はい……俺は風太です。神崎風太」  なんなんだこのラウスという女は。風太は頭を整理しようとした。が、整理できなかった。  「あなただ、間違い無い」  「は?い……何が?」  ラウスは一呼吸置いて話した。  「あなたはセロアナの王となるべき人だ、有無を言わずに付いて来い」  風太は、なんて強引な女だ。こんな女が彼女だったら、振り回されて大変だな、と呑気に考えていた。  「早く、渡りの鏡が消えてしまう!」  ラウスは手を伸ばしてきた。あまりの剣幕に一瞬退いてしまったが、冷静に言い放った。  「俺は毎日ダラダラと過ごしたいから、王様とか……良くわかんないし、断る!」
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