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駆け出し、そしてたどり着いた場所は…屋上だった。
いつものように、私はコンクリートの地面に座り、制服からナイフを取り出した。
しかし今回はリストカットのためでは無い…
誰も知らない私の趣味のためだ。
ナイフを両手で握り、持ち手の部分を頭に押し付ける。そして目を瞑り、ムカついた人間を殺す。
妄想殺人と言うのか、これで一体何人の人間を殺したことか‥クラスの人間、近所の主婦、でも‥一番腹立たしく思っていた家族は殺せなかった。
もう‥殺せない…
一度殺した人間は、もう二度と殺せないのだ。
だってそういうものでしょ?
一度現実で殺したら、どうやっても、もう殺せない…だから私は妄想殺人で、留めることに決めたのだ。
そのことに気づいたのは三年前だった。
当時、母親も妹も父親も…全てが目障りだった。話す言葉全てが耳障りで、楽しく話す声も思いっきり笑った笑い声も、全てが耳障りだった。
だから、燃やしたのだ。家を…その目障りでならない空間と、人間を…
一度殺した家族は、どうやっても妄想殺人で殺すことは出来なかった。
なんど殺そうとしたが、同じ繰り返し、目障りな空間が燃え続けるだけだ。
そのことに気づいたのだ。
そして、私は須藤を殺した。
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