隙間を見つける姿勢

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このファルコンズは、例年あまり成績が良くない。 この十年で、一度二位にまではなったものの、Bクラス(六チーム中の四位以下)が8回。 戦力面では、主力メンバーこそパ・リーグ(パシフィコ・リーグ)でもトップクラスの実力を備えているものの、それを固める脇がまだまだ弱い。つまり、層が薄い。また、その状況はこの十年であまり変わらずにここまできている。 その原因は、伸びてきた若手や中堅が、ケガやスランプで、再び実力を落とすというパターンを繰り返しているからだ。これは層が薄いため、二軍でやり残したことがあっても一軍で使わざるを得なかったことや、控えが弱いため調子の良いものを酷使しなければならなかったというチーム状況のせいだろう。 いわば、負のサイクルである。 そのため、本間へのレポートには、長所短所の技能や練習の結果についてより基礎能力と身体能力(怪我をしない身体が出来ているのか、否か)についてをしっかり書き残してくれと言われている。 特に、キャンプの第2クールになるところで二軍のうちの数名を一軍に送ることになっている。そのメンバーのプレーの特徴や良さはワシが見れば直ぐにわかるから、見極めに期間が必要な基礎と身体の強さを調べとけとのことだ。 うーんと思わず唸ってしまう。 レポート自体にはあまり苦戦しない。分かったことを要求通りに書けばいいのだから。
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