勝負強さ 第一部:陸奥の獅子

隙間を見つける姿勢

｢・・・｣

一昨日の染谷との電話を考えると、アイツが一軍昇格メンバーに困っていると思ったのだが・・・

｢山口、ナイスピッチング！｣

なかなかいいじゃないか。

今ワシはブルペンでの投球練習を見ているが、今日上がったばかりの２人の調子は良さそうだ。

北山の方は、レポートに投球術を売りにする、技巧派で実戦的な投手とあり、実力はまだここでは計りかねるが、球はそれなりにキレている。が、特出しているのは山口の方だ。
ワシがファルコンズに就任してから、最初の仕事と言える去年のドラフトで、一位で獲得した大卒投手だ。勿論、素質を見込んでのドラ１指名だが、目の前で見ると、こちらを嫌でも期待させるスケールの大きさを感じる。
ストレートはスピードに加えて、糸を引くような直線的で伸びを感じる軌道を描き、しかも体重がしっかりと乗っかった時はズシッと重さも加わっている。コンスタントにこの状態に持って来れれば、球界トップクラスの中にすぐにでも名乗りを挙げられるだろう。
しかも、それでいてまだまだ伸びしろがいろんな面で見受けられる。