隙間を見つける姿勢

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ファルコンズの二遊間では厳しいレギュラー争いが行われている。 その中でも二遊間の一方は昨年までメジャーリーガーとしてプレーをしていた松本さんが担うことになると言われている。だから、目指すのはもう一方のポジション、特に松本さんも大ベテランの域に入ってきているため、理想的なのは運動量の多いショートとしてレギュラーを射止めることだろう、と俺は考えている。 ただ、何にしても出番を手にするには、まずアピールをすることが不可欠だ。しかも守備の要とも称されるショートを狙うならば、こうした一つ一つの守備練習でのアピールがとても重要である。 「次いくぞー」 右打席に入っている佐々木コーチがノックバットを振る。 打ち出された打球は、グラウンドの土を蹴り、俺の得意なサード寄りの方向に向かって飛んでいく。 程よく勢いが死なない程度のボールだ。これを逆シングルで掴み、即座に拾い上げる。そこから、捕球体制で既に溜められたら身体の力を利用して、ファーストへ投げ込む。 「ナイスプレー!いいぞ!」 よし、心でガッツポーズを決める。 一軍では難しくないプレーなのかもしれないが、出だしとしては上々だろう。
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