隙間を見つける姿勢

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「失礼します、本間監督」 「おお、赤西やないか!」 「少々お時間をいただいてよろしいでしょうか?」 ブルペンからBチームの打撃練習を行うグラウンドの方に移動していたワシのもとに、今や解説者となった、かつての教え子である赤西が、メディア陣を連れ訪ねてきた。 そういえば、今日は取材があるとか言うてたな。 適当に放っていたスケジュール表には、なにやらそんなことを書いてあったことを思い出す。 「おお、かまわんよ。」 ワシは即座に、適切な返答をした。 「では、早速ですが。」 そう言って、赤西は何やらメモ帳のようなものを取り出した。 なんや、引退したばかりというのに、随分板についとるやないか。 そんなことを考えていたら、早速質問が飛んできた。 「今のところ、キャンプの出来はどうでしょうか?」 「正直言うと、まだ物足りないわな。」 「例えば、どんなところですかね?」 ワシの回答に食ってかかるように、赤西が質問を重ねる。コイツの生真面目な性格が表れとるな、とか思う。 「主力となる選手の層やな。確実に勝ち計算のできる先発と、勝ち継投。それから、主軸打者、上位打線、ここらへんは殆ど未定やな。」
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