隙間を見つける姿勢

33/76
前へ
/332ページ
次へ
練習場へはマイクロバスで行くのが通例であるのだが、それはあくまで練習時間に到着するものしかないので、俺はランニングで練習場へ到着した。 1人で先に来てやれることは多くないのだが、決してないワケじゃない。 昨日の練習で感じたのは、俺はもっと身体の、動きのキレを磨くべきだということだ。 内野手の守備では出だしの一歩目の早さが重要であるし、打撃でも身体の動きが素早い方が強いライナーを打てる。そして、それを年間通して高い水準に持っていくには、まだ身体的に足らない部分が多い。 とりあえず、今それを補うためにやれるのはダッシュだ。 身体は既に温まっているし、早速外野でポール間ダッシュを行うことにした。 昨日は一軍キャンプに上がったことへの不慣れさから確認出来なかったが、一軍のグラウンドでの練習はどこか心地よい。 春へ向けた下準備を進める、広くて澄んだ空の下、原色的な青いフェンスを脇目に、俺は一本、そしてまた一本とダッシュを繰り返した。
/332ページ

最初のコメントを投稿しよう!

182人が本棚に入れています
本棚に追加