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人は、進化のない生き物だ。 ただ環境の変化に合わせるだけの、カメレオンでしかない。 人が考え、理解している以上に、進化とは超越したものだ。 故に人が進化と思っているものは、ただの人自身の思い込みだ。 そして、俺自身もまたカメレオンでしかない。 生活に至っては、兵隊アリ同様だろう… そこまで考えて俺は、苦笑いをした。 俺は、やはり人だ。 人はこの地球上で、最も優れた生物だと、誰が決め付けた? 上位階級にいると思い込んでいるのも人だ。 カメレオンやアリが下であると、決め付けている俺も、人なんだと思い知らされる。 「イズミ?もう起きてたのぉ? 私寂しいよー。仕事休んじゃいなよー」 俺はベッドで寝転がっている女を見下ろす。 「あっコーヒーいいなぁ。私にも淹れてよ」 「うざい。 ってか早く帰ってくれない?」 「何それ!彼女にそう言うこと言うの!?」 女は思い切り枕を投げてきた。 飛んできた枕は、俺の足元でぽとりと空しく落ちる。 「いつ俺の彼女になったの? そう言うのうざいんだけど」 そう言うと、女は顔を見る間に赤くし、ベッドから飛び起きた。 辺りに散らばっている服を拾い集め、素早く着替えると、俺の目の前に立ちはだかった。 乾いた音が部屋に響く。 俺の頬が熱を帯びている。 どうやら、ビンタをくらったようだ。 「それで満足?忙しいから、早く帰って」
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