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「おー、あったあった」
じいさんは箱から、くすんだ色をした、固そうな塊を2つ取り出した。
「ほれ」
「ありがとうございます」
「…ありがと」
「うむ。」
俺と貴隆に一つずつ渡すと、じいさんは玄関に向かった。
「…どっか行くのか?」
俺は干し肉を一口もかじらずに聞いた。横では、貴隆が肉を噛みきるのに悪戦苦闘している。
大変そうだ。
「んあ?なに、熊次郎の腰に付けたままの獲物を取ってくるだけだ」
……熊次郎?
「熊次郎って、あのばかでかい熊のことか?」
「そうじゃが?」
「ふーん」
危なくねぇのか?
いや、このじいさんだから危ないことでも可能なのか?
「なんじゃい、『ふーん』で終わりかい。興味の『き』の字もないのぅまったく」
じいさんはまた呆れたように肩を落として出ていった。
さっきから呆れすぎたろ、俺に。
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