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「…って!!」
貴隆が突然叫んだ。俺はビビってバッと貴隆を見た。
「…どうしたんだ?」
「うまく噛みきれなかった!ちくしょう、歯がいかれる」
……ほっとこう。
俺は干し肉に噛みついた。なるほど、確かに固い。
「なんじゃ今の情けない叫び声は」
ちょうどじいさんが家に入ってきた。
「なんでもねぇよ」
素っ気なく返して目の前の干し肉に集中する。
慣れると旨いかも。
「それ食ったら、二階に荷物を持って行け。」
狩りの戦利品であろう肉をひとまず置いて座るとじいさんは言ったが、家の中には階段らしきものは見当たらない。
「おじいさん、階段はどこに?」
「ん?おぉ、忘れとったわ」
貴隆の言葉にじいさんはまた立ち上がって、干し肉の入った箱が置いてあるところへ歩いていった(と思う)。
「○×△※☆!?」
貴隆が奇声を発した。
俺はその声に驚いて顔をあげた。
じいさんは、壁に取り付けられた棚を、何食わぬ顔で、ひょいっと持ち上げていた。
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