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「なあ、覚えてるか友生っ!?」
ワクワクした顔で貴隆は話し始めた。
「小3ん時の夏さっ、お前の父さんとお前と俺で伊賀の忍者村行ったじゃん?」
「あ、ああ…そう、だったな」
こうなったら貴隆は誰にも止められない。熱が冷めるまで付き合うしかない。
頷いて貴隆は顔を近づけた。鼻がくっつきそうだ。
「うっ…あのさ、貴隆。顔、近い…」
「そんでさ、古い民家を忍者屋敷に改築したってゆートコあったじゃん?そこでワンタッチで階段になるやつあったじゃん?」
人の話を聞けっ!
…まぁいーや。
適当に相槌打ってさっさと終わらせよう。
「あっ、あー、あれね」
「ここにも同じ仕掛けがあったとはっ!くーっ、ヤッベマジ嬉しいっ!!」
「あー、そうですか」
「てことは何?お前ってば忍者の子孫だったりすんの?ならずっと前から言ってほしかったーっ!」
「…はぁっ!?」
なっ、何でそういうことなるんだよっ!?
なんか…このままだととんでもないトコまで話が持っていかれそうだ。
「ちょっ、ちょっと待て貴隆!だ、誰もそんなこと言ってねぇだろっ!?勝手に突っ走んなっ!」
「うるせぇっ!こんな大事なことを隠しておいてよくお前はそんな見苦しいことを言えるなっ!」
「それマジで言ってねぇから!つか俺初めてここ来たのにそんなこと知るかよっ!」
じいさんも何かツッコめよっ!
俺は階段の方を向いた。が。
「…あ、あれ?」
じいさんがいねぇ。
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