なんっ…!

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「おい、よそ見すんなよっ!」 「……」 目の端で貴隆を見る。 貴隆は肩をいからせ、顔を真っ赤にして、そして荒い息をしていた。 疲れた。こいつはもうほっとこう。 「おーい、どこ行ったじいさん」 「てっめ、無視する気か友生っ!」 「…まったく、いつまで喧嘩しとるんかと思ったら」 じいさんの声は頭上から聞こえた。 「二階?」 上を仰ぎ見ると、じいさんはしゃがんで下の俺達を眺めていた。 考えてみりゃ、じいさんが二階に上がってたのは当たり前か。二階に行くって言ってたんだから。 俺はゆっくりと立ち上がった。よろめいたがなんとかこらえる。 足がヒリヒリと痛い。やっぱ慣れない体勢は体に悪いな。 「別に、好きで喧嘩してたわけじゃねーよ。少なくとも俺は、な。」 「あ゙?」 …まだキレてんのか、こいつ。 上のじいさんを見上げて言った。 「なぁ。じいさんからもなんか言ってくれよ。こいつ全然俺の話聞かねぇの。」 「幼馴染みのお前さんの話を聞かないのに、どうして儂の話を聞くんじゃ?」 いや、聞かないだろーな。 「つか…それ、反語?」 「お、知っとったんか。」 じいさんが感心したように言った。 なんか、バカにされたよーな気がすんの、俺だけ? 「知ってるよ、そんくらい」 余談ではあるが、これでも俺の国語の成績はクラスでも上の方だ。 国語だけ、は。
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