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「ほぉ。では、お前はやはり美佳子さん似なんじゃなぁ」
感慨深げにじいさんは言った。
「え?」
似てる?俺が、母さんに?
「初耳、だけど」
「似とる似とる。」
カラカラとじいさんは笑った。
「文幸(ふみゆき)…お前の親父は歴史や地理学にしか興味なかったからのぅ」
「…へぇ」
知らなかった。
「親父の名前、文幸ってんだ?」
初めて知った。マジで。
「なんじゃ、お前知らなかったのか!」
じいさんも流石に驚いたらしい。目を丸くしている。
「まぁ、母さんは『お父さん』としか呼ばねぇし」
「あのバカ息子が」
じいさんは額を手で覆った。
「自分の名前くらいてめえの息子に教えとけ」
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