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その後、すっかり熱の引いた貴隆と一緒に、俺は二階に上がった。
「すっげぇ……!」
唯一ある大きな窓からは、深い緑の森を見ることができる。
その窓を開けると、夏なのに、涼しい風が家の中に吹いてきて気持ちがよかった。
「ベッドは…まぁこれでいいじゃろ。」
そう言ってじいさんが指差したのは、いかにも『草』って感じの匂いがする藁の山だった。
「それ、ハイジのあれみたいにすんの?」
「そういうことだ。シーツはそこらへんにある布を使え」
壁際を見てみると、少し色褪せてはいるが、きれいにたたまれたシーツが、小山のように積まれていた。
「なんかさっ、色々すげぇよなここっ!」
貴隆がまた興奮した様子で言った。
また変なこと言わなきゃいいが。
「そうだな…」
言うと、吹き抜けになっているところのすぐそばまで行って身を乗り出す。
やっぱり高い。
二階には手摺がなかった。
もし足を踏み外したら、最悪死ぬかもしれない。
「……」
気をつけよう。
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