なんっ…!

10/11
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/47ページ
その後、すっかり熱の引いた貴隆と一緒に、俺は二階に上がった。 「すっげぇ……!」 唯一ある大きな窓からは、深い緑の森を見ることができる。 その窓を開けると、夏なのに、涼しい風が家の中に吹いてきて気持ちがよかった。 「ベッドは…まぁこれでいいじゃろ。」 そう言ってじいさんが指差したのは、いかにも『草』って感じの匂いがする藁の山だった。 「それ、ハイジのあれみたいにすんの?」 「そういうことだ。シーツはそこらへんにある布を使え」 壁際を見てみると、少し色褪せてはいるが、きれいにたたまれたシーツが、小山のように積まれていた。 「なんかさっ、色々すげぇよなここっ!」 貴隆がまた興奮した様子で言った。 また変なこと言わなきゃいいが。 「そうだな…」 言うと、吹き抜けになっているところのすぐそばまで行って身を乗り出す。 やっぱり高い。 二階には手摺がなかった。 もし足を踏み外したら、最悪死ぬかもしれない。 「……」 気をつけよう。
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!