ノータイトル

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鼻に詰められた綿の前に見える鼻毛を、カミソリの刃先で器用に剃ってあげた。 たったそれだけ。 でも、私の中の違和感が消えていく。 そう…祖父は 身嗜みにとても気を付けていた人だもの。 髭の剃り残しなんて 元気な時になんか無かった。 入院中だって 必ず髪に櫛をいれていた。 病室で感じた苛立ち。 ぞんざいに、型通りに整えられた祖父の身支度。 物として扱われた。 それが私は、悲しかったんだ。
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