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「うッ・・・うわぁぁぁッ!」
余りの恐怖の為にか、半狂乱気味に男の一人がアサルトライフル・AK74をフルオートで引き金を弾きながら、全長10メートル以上はある巨人を思わせる人型戦車へと突撃して行った。
「止せぇーッ」
仲間の制止の声が男に届く事は無かった。
「うをををーッ」
悲鳴に似た様な叫び声を上げ、男はAK74の掃射を続けるが、人型戦車には毛ほども効いた様子は無い。
「ギュオオオオーッ」
再び炸裂する高速回転音が響くと、男は先程のアフムンドと同じ血煙と化していた。
「あ・・・ああッ・・・」
一人取り残された男は力が抜けたかの様に、砂地の路地へと膝から崩れ落ちた。
人型戦車は路地へ座り込んでいる、残り一人の男へ向けて右腕に構えた巨大なライフルの照準を合わせている。
「神よ・・・。
私の命と引き換えに、こいつらに罰をお与え下さい」
痛みを感じる事無く一瞬で血煙と化して死ぬ覚悟を決めた男は、無数の仲間達の命を無慈悲に、無機質に奪った、機械の巨人をこの地に遣わした者達へ復讐の祈りを、男の信じる神へと祈り始めた。
その時。
「バシュッ・・・」
と空気を引き裂く音が発生し、男は復讐の祈りの言葉を唱えながら死を覚悟し目を閉じた。
「ゴオッ・・・」
と金属が砕かれる音が聞こえた男は、カッと目を開いている。
「・・・生きてる?」
血煙と化し死ぬ筈だった男は、一瞬何が起こったか解らなかったが、やがて気を取り直し、自分へ巨大なライフルを向けていた人型戦車を見ると、信じられない光景が目に映った。
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