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武装が悉く破壊し尽くされた、人型戦車の胸部先端にせり出している鋭角的な部分の装甲がスライドすると共に、銃を構えた人影が現れた。
「この野郎ッ!」
ヘルメットとパイロットスーツに身を包んだ人物が、人型戦車のコクピットであろう部分から飛び降りて女へ銃を向けている。
だが。
そのパイロットスーツに身を包んだ人物より早く、女は手にしたハンドガンの引き金を弾いていた。
「パァンッ」
「ぐわッ」
パイロットスーツの人物は一瞬で握っていた銃を弾き飛ばされ、女が駆け寄り様に放った飛び蹴りを食らい砂路地へと叩き付けられている。
「ヘルメットを取って顔を見せなさい。
でないと頭を撃ち抜くわ」
女は、銃で威嚇しつつ冷えた声でパイロットスーツの人物へ告げると、その指示に従うかの様にパイロットスーツの人物はフルフェースのヘルメットを脱ぎ捨て、そこに現れたのは角刈りのアジア系の男であった。
「あなたの所属と階級は?
3秒以内に答えなさい」
「俺は・・・メルソン小林大尉。
USOCのVMT隊に所属している」
先程、圧倒的な火力で仲間を殺した張本人は、自身へ向けられている銃口へ怯える様に震える声で女に答えている。
「USOC・・・
しかもVMTまでも投入して、ここで何を行っているのかしら?」
「俺は極秘ミッションに志願しただけだ・・・
VMTの初実戦であり、この地の暴動鎮圧のミッションを・・・」
メルソンが震える声で女に答える中、物陰からそれを聞いていた男が全身に怒りを漂わせつつ飛び出していた。
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