Chapter 02 Battle Fields

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【目標ポイント周辺】 「USOCの連中、どんどん近付いて来てるぜ!」 目標ポイントの建物地下に隠れていた、真なる解放軍の一人が地上の木々に偽装して設置していた、カメラの映像を見ながら仲間達へ告げた。 「カスケードの情報通りだな。 VMTが5機と歩兵が2個小隊クラス。 戦えない数では無いな」 「ああ。 俺達もそろそろ配置に付くか」 髭面のいかにも民兵といった姿の男はニヤリと笑みを浮かべた。 「この地下が、連中が進攻中の道へ繋がるとは夢にも思うまい。 迫撃砲発射が突撃の合図だぞ? 皆忘れて無いな?」 男の問いに、地下室に無数に居る真なる解放軍の男達は無言で頷く。 口にバンダナを巻いた者。 アイメイクをしている者。 まるでバラバラの格好ではあるが、それぞれがアサルトライフルや手榴弾を身に付けており、男達は瞳に殺気を宿しながら無言で地下道を進み始めた。 「俺は迫撃砲の準備にかかる」 髭面の男は短く告げると、皆が地下道を進むのとは逆に地下から建物内へと向かった。 地下室から建物内へ続く階段を小走りに走りながら、髭面の男はカスケードが最後に告げた言葉を反芻していた。 「本来、君達を討ちに来るべきはウクライナ軍になるのが道理なのに、USOCが介入して来るという事は、君達の敵であるロシアの思惑と言う事だ。 しかし、この状況・・・ 進攻して来るUSOCを君達が撃退すれば、世界中のテロ組織が呼応して動き出す可能性は高い。 そして・・・君達は歪んだNWUCT条約を打破する英雄となるだろう」 真なる解放軍のメンバーでは無いが、カスケードと接触してからは組織は拡大し、また潤沢な資金と無尽蔵と言える位の武器供給を受けて来た。 謎の男・・・カスケード。 武器商人なのか? 反ロシアの情報組織のエージェントなのか? まるで足取りを掴む事の出来ない幽霊のような男であるが、利用価値は高く、またある種の友情の様な物も芽生えていた。 対VMT用にと無償で提供された、FGM-148ジャベリン(対戦車ミサイル)5基は友情に置き換えられる様な代物では無い、超高価な物である。 「俺はその友情に答える必要がある」 髭面の男は地下室の扉を開け、建物内の屋上へ繋がる、古びた階段を身を屈めて上って行く。 近付くVMTのキャタピラ音の振動が建物内に響いていた。
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