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「暴動鎮圧だと?
NWUCT条約反対の平和的デモにしか過ぎ無いのに・・・
お前はあんな物を使って無差別に人々を殺しただけだッ!
俺がお前を殺してやるよ・・・」
男が懐から銃を取り出そうとした時、女の鋭い手刀を食らい、男は短い苦痛の声を上げて銃を砂路地へと落とす事となった。
「何をする!
こいつが仲間を殺したんだ」
男が女に食って掛かるが、女は片手でそれ以上の言葉を遮っている。
「だとしても・・・
彼を殺っても仲間は生き返りはしないわよ?
それに彼を殺す気だったら、とっくに私が消してるわ」
底冷えする女の瞳に気圧されるかの様に、男はそれ以上の憎しみを発する事は出来なかった。
「・・・解った。
あんたが人型戦車を破壊したんだしな」
「解ってくれて助かった。
さて・・・メルソン大尉。
あなたが志願したミッションの詳細について話して貰うわ?」
女はメルソンに手錠を掛け、目隠しをしながら冷えた声で尋ねている。
「お・・・俺にこんな事して無事で済むと思うのか?
USOCを敵に回したら、お前は死ぬ運命になるぞ」
怯えながら告げるメルソンへ、女は腰から警棒の様な物を取り出して露出した肌へ当てた。
「バチィッ」
と警棒から電流の爆ぜる音がしたかと思うと、メルソンは白目を剥いて気絶した。
「しばらく寝てなさい」
女はメルソンへ冷たく吐き捨てた。
「あんたは・・・
一体何者なんだ?」
オレンジを思わせる髪を結び、切れ長の瞳は男を真っ直ぐに見つめ、瑞瑞しい艶やかな唇がゆっくりと動く。
「私はルサリィ。
メルソンが言うUSOCやNWUCT・・・
いや、WISE31と戦う者」
自分をルサリィと呼ぶ女は男に告げた後、耳に装着しているヘッドホンマイクで何処かへと通信を始めた。
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