Chapter 02 Battle Fields

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重い金属の擦れるキャタピラ音が辺りに轟く中。 屋上へ辿り着いた髭面の男は、予めブルーシートの下に隠していた。 M29 81ミリ迫撃砲に被さるブルーシートを剥ぎ取る。 現在進攻中であるUSOC歩兵隊が居る辺りに照準をセットしているので、後は射角を付けた砲筒内に砲弾を落とし込むだけで済む。 地上からは屋上の壁に遮られ、迫撃砲がセットされてる事も、自分がここに居る事も視認出来ない。 USOCの連中が迫撃砲に気付いた時は、屋上の斜め上から曲射される砲弾が発射され、砲弾が間もなく連中に着弾する時である。 そして迫撃砲が発射された時。 USOCの両側面から奇襲が始まり、ジャベリンの猛威がVMTに迫る事となる。 「帝国主義者達よ! 死ぬがいいッ!」 男は砲筒に砲弾を落とし込むと、両手で耳を押さえた。 「ボシュッ・・・」 と炸薬が爆発する音が辺りに響き渡った。 「迫撃砲ーッ!」 ボブは空を裂く忌まわしき炸裂音が発生した時、本能的に雄叫びを上げていた。 その数秒後。 「ドゴオッ」 と爆発音が自分のすぐ後ろに轟き、迫撃砲から放たれた砲弾が着弾した。 「うぎゃあぁぁぁッ!」 苦悶の絶叫が多数響いているという事は、砲弾の爆発よりも、爆発時に辺りに飛び散る砲殻で負傷した仲間が無数に居ると言う事である。 「ゴールドマウスより各員へ。 一体何が?」 唐突として迫撃砲が発射された事で、指揮車も混乱している様子である。 「迫撃砲が正面の建物から発射された模様!」 ボブは唾を飛ばしながら、無線機へ怒鳴る様に告げた。 「了解。 これよりVMTで建物を破壊する。 歩兵隊・指揮車は後退を」 レビンの声が無線に響く。 「こちらマーディラス。 了解。これより負傷者の回収・・・」 とボブが無線に告げる中、先程迄確実に人が居なかった筈の廃墟じみた建物から、武装した集団が次々と現れて銃撃を始めた。
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