Chapter 02 Battle Fields

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レビンがポチの両腕に構えた巨大なライフル《レイジ40》の銃口をマニュアル操作で、目の前の建物屋上へと合わせている最中に、アンソニーから通信が入った。 「アルマジロよりポチへ。 敵兵の増援が歩兵隊を挟撃している」 「クッ・・・。 敵の罠に嵌まった訳か。 よし。 皆は敵兵の排除に当たってくれ。 俺は迫撃砲の奴を叩いてから、すぐに戻る」 「了解」 レビンはアンソニーへ答えながらも、マニュアル操作で屋上へ照準を合わせ終え、操縦桿の引き金を引いた。 「ズガガガガッ・・・」 普通サイズの銃撃音とは違い、40ミリの弾丸が吐き出される音は、空気を激しく震わせている。 そして吐き出された巨大な弾頭は、目の前のコンクリート製の屋上の壁を木っ端微塵に粉砕していく。 巨大な機関砲クラスの重火器を、さながら人間の腕が銃を撃つような射角の自由度の高さこそ、人型上半身のVMTの強みであり、今はその強みを最大限に発揮していた。 レイジ40から無数に吐き出された弾丸は、建物屋上のコンクリートを破壊し、屋上部は夥しい粉塵を撒き散らし空洞と変わり果てている。 「目標駆逐完了。 これより歩兵隊・指揮車の防衛に当たる」 レビンは機体を180度旋回させて、歩兵隊の元に戻ろうとした時。 「ビィッ・・・」 と短い警告音がコクピット内へ響き渡った。 サブディスプレイのレーダーサイトには5つの点が現れて、レーダーサイト上部には《LOCK》と赤文字で表示されている。 「ロックされた? 赤外線誘導装置・・・対戦車ミサイルか!?」 レビンはレーダーサイトの5つの点の方向へ向け機体を再び旋回させるが、内2つの点から小さな丸点がサイトの中心の自分へ向け発射された。 「くそったれがッ!」 レビンは機体を旋回させ、5つの点をレーダーサイトの正面に捉えた。 建物脇の草地に数人の男達の映像と、地面に据え付けられている、対戦車ミサイル・ジャベリンの砲身が確認出来た。 そして2発のミサイルが白煙を噴き出しながら、こちらへ迫って来ていた。
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