Chapter 02 Battle Fields

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屋上から迫撃砲を発射し戦端を開いた髭面の男は、VMTのライフルから吐き出される夥しい弾丸の暴威に晒されていた。 「虎の子の対戦車ミサイルが撃ち落とされただとッ! ぐをッ・・・」 精密射撃されたかの様に、ジャベリンは木っ端微塵に破壊されて行く。 そして地面を抉り飛ばし、土くれと共に迫り来る火線はジャベリンを破壊した後、自分や仲間が健在だと言うのにピタリと収まった。 「あのVMTのパイロット・・・不殺を気取るのか? ナメられたもんだなッ!」 髭面の男はアサルトライフルを手に取り、VMTがこちらへ背中を向け始める中、こめかみに太い血管の筋を浮かべながら仲間に突撃の命令を下す。 「ジャベリンは失われたが、俺達は健在だ! 全員、VMTに突撃するぞ!」 「おうッ!」 髭面の男を先頭に男達はVMTへと突撃を開始した。 「こいつら・・・命が惜しく無いのか?」 レビンが歩兵隊の救援に向かう中に目にした光景は壮絶な物だった。 敵味方の銃弾が飛び交う中、やはり圧倒的な火力を持つVMTに対して生身の敵は無力に近く、次々と仲間のVMTの攻撃を受けて命を散らしている。 上半身が消し飛んだ死体や、原型を留めていない肉塊と化した死体。 歩兵隊の包囲も段々と解け始める中でも、敵は一人も逃げる事無くひたすらに銃の引き金を引き続けている。 「ゴールドマウスよりVMT各機へ。 こちらハーシー。 後少しで包囲を破れる。 皆、頼むぞ」 ハーシー中佐の厳しい声がコクピットに響き、レビンは気を取り直し、今は討つべき敵を討つ事だけに集中した。 「奴らを殺らなきゃ仲間が殺られる・・・」
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