25人が本棚に入れています
本棚に追加
/95ページ
【同時刻 NY上空】
リイサが幽霊部隊の本部に到着した頃。
同じくフランスから出発した麻理亜も、もう間もなくアメリカのケネディ国際空港へ降り立とうとしていた。
ジャンボジェット機の席は満席に近く、ビジネスマンや観光客や様々な人が、これから世界の中心と言って過言でも無い、NYへの期待感に溢れた表情を浮かべる者。
これからのビジネスに気を引きしめるかの様に、厳しい表情を浮かべる者と、その表情もまた様々である。
麻理亜もまた軽く深呼吸を行い、今後の事やフランスを出る前の事を思い浮かべていた。
「麻理亜さん。
今はまだ戦いの最中だけど・・・
この戦いが終わった後に・・・
僕と結婚して下さい」
麻理亜のNY行きの決意を純哉に話した時、純哉が自分を真っ直ぐ見つめる瞳と、微かな緊張に揺れるが、どこまでも優しさに包まれた声。
それは、その時二人が居た、小さなレストランのテーブルに置かれた揺れる蝋燭の炎の色と共に、麻理亜の脳裏に鮮明に刻まれている。
「わ・・・私・・・
本当に私でいいの?
でも・・・・・・
私でよければ、結婚して下さい」
純哉のプロポーズに麻理亜は我知らず涙が流れ落ち、純哉の手をぎゅうっと握りしめていた。
その夜。二人は暫しの別れを惜しむ様に。
永遠の契りを交わすかの様に。
互いの想いを身体の奥の魂に刻み込むかの様に。
何度も何度も抱き合った。
「寂しくなんか無い。
私はあなたの想いに包まれてるから・・・」
麻理亜は軽く赤面しつつ、純哉が優しく嵌めてくれた、左薬指の指輪を見つめていた。
機内のアナウンスがもうすぐ着陸体制に入る旨を告げ、麻理亜は甘い追憶に暫し別れを告げ、これからのプランの組み立てを始めた。
最初のコメントを投稿しよう!