Chapter 03 交錯

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NWUCT事務局の次官級である。 趙潘象が主催するパーティーが、カモネギービルと言う場所で開かれるという事前情報を得ていた。 どんな背景の面々が集まるかは不明であるが、NWUCT次官の趙主催という事は高確率でUSOCのメンバーが出席する可能性も高く、また麻理亜達の真の敵であるWISE31のメンバーの情報を掴める可能性も高かった。 イギリス国籍で個人投資家の、マリア・バレンタイン。 パーティー潜入の時はこの偽装身分が麻理亜のアイデンティティーになり、それに付随するクレジットカードや身分証等の備品は、NYのネストに先行して既に運ばれている。 「オールドコマンダー。 いや・・・パパの手際の良さは相変わらずね。 でも、私が結婚するって知ったら、どんな反応見せるかしらね」 歴戦の傭兵部隊、ピースピジョンカンパニーを作り上げ。 また、優秀な指揮官でもある、養父ゲイリー・ギャレー。 テロ組織の自爆テロで親族を亡くして、たった一人きりになった自分を引き取り。 あくまでも普通の暮らしを送らせるつもりであった、ゲイリーの意思に反して、傭兵となりテロ組織と戦うと頑なに言い張る自分に、渋々ながらも自分を死なせ無い為にと、ゲイリーの持てる全ての戦闘技術を叩き込まれた後。 自分の意思で戦場を渡り歩き、見て、経験し、感じた物の積み重ねが、今の自分を作り上げていた。 NYに降り立ったらゲイリーに電話する事になっているので、麻理亜は剛毅な中にも温かな優しさを浮かべている、義父の顔を思い浮かべていた。 そして、もう一人。 これからの潜入の助けとなる、これまた、いかつい顔でぼやき癖があるが、やる時はやる男の顔を思い浮かべた。 「私の回りは・・・ 本当に男臭い人ばかり。 本当・・・純哉君みたいな優しい感じな男性と結婚出来るなんて、あの頃の私は夢にも思わなかったわ」 甘い追憶は終えた筈なのに、またしても純哉の優しい顔を思い浮かべた麻理亜は、幸せそうな表情を浮かべながら苦笑していた。
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