Chapter 03 交錯

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程なく、麻理亜を乗せたジャンボジェット機は、ケネディ空港へと降り立ち、手荷物を手にした麻理亜は、空港の入口へと向かいながら携帯を取り出してゲイリーへと電話を掛けた。 数秒で通話は繋がり、受話器からは聞き慣れた、ゲイリーの艶のある低い声が聞こえてくる。 「マリアか。 無事に着いたみたいだな」 「ええ。無事にね。 それより荷物は届いてるんだよね」 「ああ。 しかし、こないだも言ったと思うが・・・ 一人で大丈夫なのか? 俺がそっちに行ってもいいんだぞ?」 年と共に親バカ度を増して行くゲイリーの言葉に、麻理亜は嬉し気な表情を浮かべた。 「パパ・・・ こないだ話した様に、いつもの仕事と違うから大丈夫だよ。 それよりも、パパの仕事は大丈夫なの?」 仕事とはミッションの隠語である。 「俺の方は大丈夫だ。 ただ、お得意さん(USOC)が出張(軍事目的の移動)に出ると言う事らしい」 「そうなんだ・・・ お得意さんも最近忙しいわね。 私担当のお客さんも似たり寄ったりかもね」 USOCがウクライナから移動すると言う事は、まだ全容が掴めていないWISE31の作戦の一環である事は、まず間違い無かった。 「だからこそ、マリア一人でビジネスが大丈夫なのか、心配にもなる訳だ・・・」 6年振りにゲイリーと再開してからというもの、ゲイリーの親バカ振りはどんどん上昇していた。 そして。 麻理亜にはそれが可笑しくもあり、また嬉しくもあるのである。 「心配しないで。 今までの仕事は、それなりにこなして来たつもりよ? そんな事よりも、パパに知らせたい事があるんだけど・・・ いいかな?」 「ん? 何だ、知らせたい事って?」 普段の電話では、要点だけ話して通話を終える麻理亜の意外な言葉に、受話器の向こうのゲイリーは多少驚いている様子である。 「実は・・・ この一連の仕事が終わったら 私、結婚する事に決めたんだ」 麻理亜が告げた結婚と言う言葉にゲイリーは暫し沈黙していた。 「・・・・・・・・」 「パパ・・・聞いてる?」 「あ・・・ああ。 というより・・・ 結婚するってんなら、NY行き取り消しだ! 何で、そんな大事な事を・・・ NYに着いてから言うかな?」
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