Chapter 03 交錯

8/26

25人が本棚に入れています
本棚に追加
/95ページ
【ウクライナ空軍基地】 正義の盾作戦でテロ組織・真なる解放軍を掃討したレビン達は、次の任務に向けて補給も兼ねてウクライナの空軍基地に居た。 雲一つ無い月夜の中、レビン達を次なる戦地へ送る輸送機への燃料補給や整備が行われているが、レビンはその光景を見る事も無く、基地内のアスファルトに座り込み、共にチェルノブイリで戦ったボブと月を眺めていた。 「今更だが。 お前達VMT隊のおかげで俺達の損害も少なくて済んだよ・・・ ありがとうな」 「いや・・・ 何人かは死んじまったからな。 それは済まないと思ってる」 二人共に互いの顔を見る事は無いが、その心は通じ合っている様に思える。 「俺達の部隊はアメリカに帰国になるが。 お前等は次は中国に行くんだってな?」 「らしいな? 作戦概要も全く解らない状態ではあるけど。 VMTで対人戦闘をやる必要が全く理解出来ないぜ」 レビンは軽く吐き捨てた後に、アスファルトへ寝そべった。 「明らかにオーバーキル(過剰殺戮)になるのは明確だってのに、国連も他の機関も何も言って来ないのが不思議でしょうが無いぜ」 ボブは曇った表情を浮かべるレビンをちらりと見た後、タバコに火を点けた。 「今回、俺達がウクライナくんだりまで出張る事もおかしいもんな。 だが・・・俺達ゃ一兵士に過ぎないし、軍に居る以上は上から来る命令に従うしか出来ないからよ。 あんま、考え過ぎると死ぬぜ?」 ボブが吐き出す紫煙は一瞬で闇に溶けて行く。 「そうだな。 まずは生き延びる・・・ 後はそれからか。 お前のおかげで少し楽になれたぜ。 ありがとうな」 レビンは地べたから身体を起こしてボブに礼を述べた。 「訓練時代にある将校が言ってたが。 殺した数だけ女を抱けって言ってたぜ? お前等の部隊にゃ女が居るから癒して貰って、生き延びて、アメリカに戻ったら酒でも飲もうぜ」 「流石に陸軍系の明言って奴だな。 まぁ、女とかは別として、必ず生き延びるからよ」 とレビンがボブに答えてる最中に、こちらへ近付いてくる人影の足音が響いて来た。
/95ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加