Chapter 03 交錯

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「モーガン中尉。 こんな所で何してるんですか?」 不意に声を掛けられたレビンが声の方を振り返ると、声の主はオペレーターのミリアであった。 「野郎二人で、むさ苦しく月を眺めてるだけさ。 ミリアこそどうしたんだ? こんな夜更けに一人で」 「何か・・・眠れなくて。 外の風を浴びようかな?って感じです」 いつもの軍服姿では無く、Tシャツとハーフパンツ姿のミリアは、淡い月の光に照らされている事もあり元々細身の身体も相まって、儚気にレビンには映っていた。 「おいおい。誰だよ。この可愛い娘は?」 ボブはレビンとニヤリと笑いつつも、妙な気を回したかの様にこの場から立ち去ろうと立ち上がった。 「彼女はミリア・ハーディング。 VMT隊のオペレーターだ。 んで、この男はボブ・マーディラス」 レビンが簡単に互いの紹介を行うと、互いに手を差し出して握手を交わす。 「今回はお疲れ様でした。 そして、亡くなられた戦友の方・・・ 私がもっとしっかりしてれば・・・」 泣き出しそうな表情を浮かべるミリアへ、安心させるかの様にボブは笑顔を浮かべる。 「君のせいじゃ無いよ。 レビンにも言った事だけど、VMT隊が居てくれたお蔭で俺達の被害は最少で済んだのだから」 「はい・・・」 「そして俺達歩兵隊は、死ぬ事は珍しい事じゃ無いからさ。 君が気にするまでの事じゃ無いから」 ボブはミリアを安心させるかの様に優しく告げた後、レビンへ向き直り敬礼を行った。 互いの無事を祈るかの様に。 生きて再び再会出来る事を願うかの様に。 「死ぬなよ?」 「お互いにな」 万感の想いを短い言葉に変えて、互いに敬礼を終えた後、ボブは兵舎の方へ戻って行った。 レビンとミリアは、ただ静かにボブの背中を見つめている。 勇敢な兵士であり、だけども優しさを見失う事の無い男の影は、程なく闇に溶けていった。
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