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ぽつんと後に残されたレビンとミリアは暫し静寂の時に包まれた。
示し合わせたかの様に、二人共に夜空に視線を向けたのは、先日の戦場での体験やボブの何気ない一言のせいなのだろう。
カリフォルニア基地での訓練や演習とは違い、レビンにしろミリアにしろ戦闘中の行動は、それ則ち敵の命を奪う為の物である。
それぞれに課せられた為すべき事を為すまでであり。
初見の敵に対して、個人的な憎しみ等の感情がある訳でも無い。
敵と味方に別れ。
殺らなきゃ殺られる。
そんな超簡単なルールの下で、それぞれが守る物や望む物の為に、生存を賭けて、全知全能を賭けて大いに殺し合う。
「これが戦争なんですね・・・」
ミリアが静かに呟いた。
「ああ・・・
命なんて儚いもんだな。
こんな環境だと。
つか。大丈夫か?」
淡々と告げるレビンであるが、ミリアを見つめる瞳は優しい色を浮かべている。
「はい。
次の作戦に向けて頑張る気持ちに迷いはありません・・・
でも、やっぱりまだ、色々簡単に割り切れ無くて・・・って感じでしたけど。
モーガン中尉とお話出来て、ちょっとだけ気持ちが楽になりました」
微笑を浮かべ告げたミリアを見たレビンも、少しだけ安心したかの様に微笑を浮かべ静かに頷いた。
「モーガン中尉って意外と優しいんですね」
ミリアが不意に告げた言葉に、レビンは今度は苦笑を浮かべている。
「意外って。
俺の半分は優しさで出来てるんだぜ?
つか・・・俺以上にミリアに優しくしてくれる野郎が二匹居るだろ?」
ミリアに好意を持つ、アンソニーとトムの事を思い浮かべつつミリアへニヤリと笑いかけた。
「え?」
ミリアは何の事か解らない様な表情を浮かべている。
「アンソニーとトムに告白されただろ?
作戦で色々忙しくて、その後の事は詳しく聞いて無いけどさ」
「ああ~。
あの件は、私なんかに嬉しい言葉を貰って。
お二人とはお友達になりましたよ~」
ミリアが告げた《お友達》と言う言葉は態のいい断り言葉では無くて、純情そうな表情を浮かべるミリアには、本当にアンソニーとトムはお友達と言う事なのだろう。
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