Chapter 01 鳴動する世界

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【2016年 7月1日 アメリカ・USOCカリフォルニア基地周辺】 カリフォルニア州、ユタ州、ネバダ州、アリゾナ州をまたぐ広大なモハーヴェ砂漠。 多くのゴーストタウンや、多くの旅客機が解体される、旅客機の墓場と呼ばれるこの地は、野戦に適しているという事もあり、カリフォルニアにVMT隊の基地が新造される事となっていた。 本日もいつも通りにVMT同士の模擬戦が行われている。 光り輝くブルーとパールホワイトのツートンカラーで塗装されたVMTと、デザートカラーで迷彩塗装されているVMTが、両機共に砂煙を巻き上げながら模擬戦の最中であった。 デザート迷彩のVMTが前進しながら、人間であれば胸部にあたる部分に据え付けられている120ミリ主砲を、パールホワイトのVMTへ向け照準を合わせる様に旋回させた。 「読めてるぜ。 お前の動きはよッ!」 パールホワイトのVMTのコクピット内のレビンは、モニターに映るデザート迷彩のVMTの120ミリ砲の火線から逃れる様に、操縦桿を動かし機体を左側に移動させた。 コクピット内のモニターには右側に移動して行くVMTに追随する様に、ロックオンマーカー(照準)が共に移動する。 《LOCK-ON》 短い電子音と共に、緑色のロックオンマーカーが、デザート迷彩のVMTを完全に捉えた。 「よしッ。 オートロックでも余裕だぜ」 レビンはそれを確認すると操縦桿の引き金を弾いた。 レビンの操縦桿の動きに連動したVMTの右腕に携えた、巨大なライフルから火が吹いた。 爆音と共に、巨大なライフルの銃口からフルオートで吐き出された模擬弾が、デザート迷彩のVMTに着弾し、デザート迷彩のVMTは真っ赤に染まっていく。 8インチサイズのサブモニターにはデザート迷彩のVMTの3DCGが表示され、レビンが吐き出した弾丸の被弾箇所が赤い光で示されている。
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