Chapter 03 交錯

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趙のスピーチはパーティー客を飽きさせ無い様に、時にジョークを織り交ぜながら滞り無く進んでいた。 「長らくお待たせしました。 今日お集まり頂いた皆様が一番知りたいであろう、ユニオの話をそろそろ行いましょうかね」 趙がそこで話を止めると、会場内に拍手と歓声が沸き起こる。 趙は満足そうに頷くと中断した話を再開した。 趙の話が会場に響く中。 麻理亜とジェスは趙の話を聞きながらショーンを窺い。 リイサは腕時計をじっと見つめている。 「時間ね・・・ 主よ、私の罪をお許し下さい」 リイサは胸の中で静かに祈りを捧げた。 「ドンッ・・・」 腹に響く様な衝撃がパーティー会場を揺らし、テーブルの上のグラス類は床に落ちて派手に砕け。 天井に吊り下がっているシャンデリアも、唐突に起こった激しい衝撃でパーティー客の頭上へと落下した。 「ぎゃああああッ!」 「いやああああッ!」 先程の歓声は悲鳴と怒号に変わり果て、会場内は混沌の渦に叩き込まれた。
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