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「これは・・・」
「一体何だってんだぁ・・・」
突然起こった爆発に暫し呆然としていた麻理亜とジェスであったが。
会場の混乱を他所にいち早く気を取り直して、状況確認を行えるのは、それぞれが数多くの修羅場をくぐり抜けて来た由縁である。
シャンデリアの下敷きになった者達の負傷度は高いが、他は派手な損害は見受けられない。
「爆発は会場外で起こり、その衝撃のみが会場に伝わった訳か」
麻理亜は四方八方に目を配りながら独り言の様に呟く。
「趙の野郎が狙われたって事かぁ?
それにしちゃ手緩いな・・・
趙の野郎にゃ傷一つ付いてねぇしな」
「わからない・・・
可能性としては一番高いんだろうけど・・・」
その趙は腰を抜かしたかの様に床にへたり込んでいた。
「何にせよ。
まずは負傷者を助け無いとな」
ジェスはシャンデリアの下敷きになり呻き声を上げている者達を指差した。
負傷してないパーティー客が、シャンデリアの下敷きになっている者達を救出しようと集まり始めている。
「ええ。
ここの警備も当てにならないみたいだしね」
NWUCT事務局次官の地位にある趙だが、パーティー客に紛れてた数人のSPらしき人物が趙に近付く位で、会場警護官による避難指示等もまだ行われてはいない。
麻理亜はふと思い出した様に、先程マークしていたショーンが居た席を伺う。
ショーンが居た席は、テーブルのグラスや料理の皿が床に全部落ちてるとは言え、特に大した被害は見受けられない。
そしてその席にショーンの姿は無かった。
「ショーンが居ない・・・」
「何だって?
奴が消えたってんなら・・・
この爆発に関係してるって事かぁ?」
何かを考える麻理亜の瞳は冷たく冴えた光を放ち、ジェスの言葉へ静かに頷く。
「その可能性が出て来たわね・・・
私はショーンを探しに行くわ。
あなたは負傷者の救出と、趙の行動の見張りをお願い出来るかしら?」
「こっちは任せとけ。
マッカランに連絡して応援を頼むからよ。
マリアも気をつけてな。
ヤバい時は一人で無理せずに俺を呼んでくれな?」
ジェスは心配そうな表情を浮かべ麻理亜を見つめている。
「ありがとう。
何が起こるか解らないからジェスも気をつけて」
麻理亜はふっと笑みを浮かべると、ショーンを探しにパーティー会場の外へと向かった。
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