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同じ頃。
リイサはショーンと共にホールの一階へと辿り着いていた。
「一体何がどうなってるのかね?」
そうリイサに尋ねるショーンの表情は、様々な疑問や不安に包まれている。
「先程の爆発はNWUCT条約の反対派組織による物でしょう」
ホールのフロントから手荷物を受け取りながら、リイサは淡々とショーンへ答える。
「そうなのか・・・?
それよりも初対面の君が何故私を助けるのかね?」
爆発会場からリイサに促されるまま今に至るが、外の景色が見えた事によりショーンは少しだけ落ち着きを取り戻していた。
「ダレス財団。
貧しき者達を救うべく。
食事や住む場所を提供する事は勿論、教育を受けれる環境に無い者達へ教育を施し。
支援される側から自立する側へと導く、慈善活動を行う財団」
リイサは手荷物のバックのファスナーを開きながら、相変わらず淡々とした口調で告げている。
「私達の財団が・・・
この爆発と関係があるとでも」
「無いとは言えない。
あなたが今日ここに居る理由は、財団の財力でユニオを大量に取得し、そのユニオをNWUCT条約非加盟国に先行してバラ撒くと言う理由でしょ?」
自分を見る事無く淡々と告げるリイサの背中にショーンは、落ち着いた様子で静かに反論する。
「私達の財力なんて、たかが知れている。
その一部を貧しき者達へ分け与えようと考えてるだけだ。
聞いた話だとNWUCT条約加盟国に於いては、エネルギー等についての決済はユニオ建てになると言う話だし」
リイサはショーンの方へ振り向き、瞳に虚無の色を浮かべショーンを見据えた。
「あなたの財団のやろうとしてる事は人として素晴らしい事。
でもそれは、ただ混沌を広げるだけ。
恒久的な平和なる未来にとって、ただのイレギュラーなシナリオに過ぎない」
そう告げるリイサの右手には、サブマシンガン・イングラムM10が握られており、その黒い銃身の鈍い輝きにショーンは戦慄の表情を浮かべた。
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