アリスの井戸

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『ホントに私達じゃないって!』 職員室ではもう何時間もこのようなやりとりが続けられている。 クラスメートを骨折まで追いやるイジメをした首謀者と思われる女生徒と教師は、真っ暗になった学校で事件の真相を話し続ける。 『だから赤い髪の奴が後から来て椅子で殴ったんだって!』 『先生信じてよ!私達は気絶した後何もしてないんだから!』 『他の奴にも聞いてみてよ、みんな見てたんだから!』 泣き叫び訴える女生徒達は、あまりの興奮ぶりで手がつけられなかった。 今日は帰ろうという教師の声も届かない。 『彼は救急車を呼んだんだぞ?』 『だけどやったのはアイツなんだって!』 『ゴミだってアイツが…蟻って言い出したのもいじめるように言ったのもアイツなんだってば!』 もうお手上げだとばかりに、教師は落ち着かぬ女生徒達を眺めた。 『だいたい、彼はうちの生徒じゃないんだよな…誰なんだよアイツは…』 うんざりした顔で時計を見る。 もう21時だった。
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