アリスの井戸

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『あーらら…随分と乱暴な奴らだねぇ』 ぼーっとたちんぼのアタシ、彼は鞄に散らばったアタシの教科書を片付けている。 『なくなってるもの、ない?』 鞄を差し出し、彼特有の笑顔を見せてくれる。 アタシは泣き腫らして見られたものじゃない顔が恥ずかしくて、俯きながら受け取る。 『ホント馬鹿ばかりだ』 アタシの教室の窓を見上げぼそりと呟く彼は、静かに…怒ってくれてるようにみえた。 アタシは怖くて見れない、見なくても視線が感じられる。 『あの、アタシ行くね、その…ありがとうチェシャ猫さん』 くるりと方向転換して歩き出した。 その瞬間、後ろから抱きしめられる。 吃驚しすぎて声もでない。 『明日は髪、下ろしてきてよ』 耳元に響く低めの声、三つ編みでかっちり纏めた髪を弄ばれる。 『は…離して下さい』 『また明日ね、アリス』 離されると同時に走り出した。 頭上からはクラスメートの声、背中に刺さる彼の視線。 アタシの頭は混乱しっぱなしだった。
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