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朝、少しばかり早めに目が覚める。
彼の夢を見た。
鏡の前でいろんな髪型を試す。
でもどれも似合わない気がして、結局今日も三つ編みに落ち着いた。
夢の余韻でほんの少しだけ、気分が良かった。
教室につくまでは。
机が、ロッカーが、ゴミで一杯だった。
椅子にはご丁寧に生ゴミを擦り込んでいるようで、色が変わっている。
『ぁ…な、なんで』
『随分とお優しい彼氏だこと』
後ろに女子が五人、並んで睨んでいる。
内三人が包帯や絆創膏を身に付けている、どういうこと?
『昨日さ、アンタの彼氏にボコられたんだって、アンタが頼んだんでしょ』
『そんな事してない、彼氏って何のこと?!』
『蟻のくせに!!』
ドンと突き飛ばされ、机の角に背中を打ちつける。
『蟻のくせに!!蟻のくせに!!蟻のくせに!!』
何度も体を蹴られ、息ができなくて。
死ぬ、このままじゃ死ぬ。
アタシは意識を手放した。
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