アリス井戸の中

井戸の中、堕ち行く

綺麗な黒髪の可愛いアリス。
ボクは今日も彼女を待つ。
いつもの公園のいつもの木の上、彼女が来る方角を見ながら。
あの日、彼女との日々がスタートした日、彼女の受難の日々が終わりを告げた日…。
あれから二年、まだ彼女はボクの元にはいない。
結婚とか、同棲とか、まだまだ彼女の中にはない考えだから。
ボクは今直ぐにでも連れていきたいんだけどな…。
アリスの柔らかく艶のある髪、絹糸のしなやかさも真珠の淡い輝きも、日の光を浴びて揺れるアリスの髪にはかなわない。
ボクは彼女の姿を思い浮かべる。
今日はどんな服で、どんな髪飾りを、どんな表情が、どんな会話に、アリス…ボクだけのアリスだ。
今はまだ邪魔な奴が多い。
でも直ぐに、ボクら二人きりになれるよ。

待っててね、アリス。