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プロローグ
セリューナ・ベルセオラは高い位置にあるひとつきりの窓へ目をやった。わずかの明かりと、空気の入れかえのためにしか機能していない、窓を。
光に属する種族、天の民であるセリューナにとって、ここは死をも連想させてしまう場所だった。その場所、魔族の薄暗い牢獄に、セリューナは幽閉されていた。
魔族、という存在を知ったのは、幼いながらも他人の話を理解できるようになったころだった。
言葉を話し、物を考えられる生き物には階級があり、大まかにわけると翼を持つものが上で、持たないものが下になるらしい。
上や下というのは幼いセリューナにはよくわからなかったが、自分が翼を持っていないため、下であることは理解できた。
そして、自分が暮らす天にはえらい王様がいて、その人がいるから争いが起こらないのだと両親に教えられた。
しかし、セリューナは近所に住む老人が時々声を荒らげて王様の悪口を言うことを知っていた。
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