…12

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「俺は…娘と一緒に仕事ができたお前が羨ましいよ。 ウチは健くらいだな。一緒に仕事しても大丈夫そうなのは… 隆や茜とじゃ、威厳保てなくなりそう。 もう、すっかり子供たちに追い越された。」 柴崎先生は早瀬先生を慰めるように、 話を違う方向に切り替えていた。 木崎先生も…笑いながら 「俺…小春とは一緒に仕事したいな。 あいつだったら絶対にいい救命医になると思う。 大祐はできれば遠慮してほしい。」 いつも『父親』って雰囲気の薄い木崎先生が豪語して… 「俺はね…優人と仕事するのが夢。」 遠い未来の話だけど、 長谷部さんに抱っこされてすっかり寝息になっただろう優人が 長い散歩から戻ってきた長谷部さんの腕に抱っこされている。 その優人を愛おしそうに見つめて 20年以上先の話を、すっごく楽しそうにしてくれた早瀬先生は、 過去を生きていると思っていたけど… 美佳子さんとの思い出の中だけだと思ったけど、 ちゃんとこうして、未来も…今も…大切にしながら生きてきた人なんだろうな… ぼんやりと、目の下を赤くした胡都と、早瀬先生を見て… この二人って幸せそうだな…と、すごくすごく…感じた。
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