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その早瀬先生の言葉に
「ははっ」と笑ったのは柴崎先生。
一番長く…一番身近で見つめてきた人だから良くご存じだろう。
「本当にきつかったもんな。
パシンパシンと跳ね除けて、何度も落とす所目撃してきて…一番タイミング良く渡してたのは…美佳ちゃんだったからな。
森崎先生…美佳ちゃんが助手で入ってる時は無言だった。
言わなくても的確に渡すから森崎先生は相当信頼していたね。」
「へぇ…俺は、美佳子がオペ看の頃は救命だから一緒にオペしたこと無かったから。」
馬鹿にしたような失笑をしたかと思ったら、
「良いな。柴崎は…俺も、
一度でいいから…美佳子ときちんと…仕事がしたかった。」
ぼんやりと空を見上げながら、早瀬先生は泣きそうな顔をして、呟いたかと思ったら
「酔ったな。里美さんが荒れるから悪酔いした。」
そう言って、いつもの顔に…いつもの態度に、
がらっと切り替えていた。
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