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あれからどれほどの時が過ぎただろうか。
地球は緑あふれる楽園となった。
有害な生物…人間は、地球がとった強制リセットという措置で絶え果てた。
すべて植物となり、街という腐った土地は蘇り、他の動植物達にとって猛毒に成り下がった人間を再び自然のサイクルに取り入れた。
第二の人間が現れるまでは地球にとって平和な時間となり、ダメージも癒えてゆくことだろう。
そんな事ボクらにはもうどうでも良いことだけど。
ボクらは初めて会った場所へ行き、そこを安住の地として根を下ろした。
かつての狂人と少女は原型を微かに幹に残し、抱き合うように絡み合って佇んでいる。
苔むした廃墟の中、邪魔の入らぬこの地で小動物達の住処となっている。
ボクらの意識はときに寄り添い、ときに一体となり、幸せの一瞬を永遠に味わいあう。
人であった記憶もとうに消え去った。
今浮かぶものは言葉いらぬ満ち足りた一瞬のみ。
いつか地球に
完全に吸収されようとも
ボクは
―完―
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